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大友の姫巫女

第五十話 宴席公卿と仕事する人々

 お元気ですか。
  宇佐で巫女をしている珠です。

 官位がやってきました。
  宇佐八幡禰宜(ねぎ)、外従五位下の官位です。
  そういえば、この官位を貰うに当たり、諱をつける必要があって。
  仲直りしたパパンから一文字貰いました。

 義子(よしこ)です。

 まぁ、すでに珠の名の方で馴染んでいるので、これっきりの名前でしょうが。
  で、長ったらしい儀式は省略。
  いや、足痛かったし。


  というわけで、儀式が終わった後のフランクな宴会で、京より官位を持ってきたお方がとってもストレートにこうおっしゃいました。

「銭くれ」

 えっと、ぶっちゃけすぎじゃないでしょうか?
  山科言継卿。

 この時代の朝廷の主な収入源と言えば大名からの寄付なのです。
  が、この山科言継卿、あちこちの大名から金を取り立て……もとい寄付を募ったすばらしいお方。
  大酒飲みで医者でもあり、京の庶民に愛され、その膨大な大名とのコネで窮乏の朝廷を一手に支え続けた、戦国における公家のあだ花。
  だから、とってもフランクなのですが、うちの焼酎かぽかぽ一気飲みしないでください。
  アル中になっても知りませんよ。

「安心するがよい。
  酒ごときで、雅を失うぐらいでは公卿はつとまらぬわ」

 できませんから。
  ああ、南蛮から大金払って買って来た秘蔵のワインをかっぷかっぷと。
  誰よ!あれ持ってきたのは!!

「え?
  姫様がもってこいとおっしゃったのでは!?

 私の糾弾の視線を感じたらしい麟姉さんが慌てて釈明していたりするのだが。

「気にするでない。
  ここに来る前に別府で遊んでの。
  姫がいい酒を持っていると商人達から聞いておったのじゃ。
  で、遊郭の稚児に「姫様の命」と命じて持ってこらせたまでの事」

「麟姉さん。
  大典太光世持ってきて。
  ちょっと、私もワインが飲みたくなったわ」

 何だか心の声がダダ漏れのような気がするが気のせいだろう。
  宴席なのにぴたりと談笑が止まったのも気のせいだろう。うん。
 
「まったく、酒を飲まれたぐらいで怒るでない。
  また買えばいいではないか」

 ああ、自覚がある。
  今、私めっちゃいい笑顔のはず。
  この間、府内城で小野和泉相手に松の廊下ごっこをやってから、何でか「珠姫の夜叉笑み」って家臣が噂していたの聞いたから。うん。

「ほほう。
  はるばる南蛮から持ってこさせたワインを買うのにどれだけの手間隙かかるか、
分かっておっしゃっているのですね?」

 けど、この笑みも伝統に裏打ちされた公卿には効かなかったらしい。

「知らぬわ。そんな事。
  だが、酒は飲まれてこそ花。
  ましてや、いい酒は皆に振舞うのが道よ。
  一人で隠れて飲むなど酒道から外れるので、麿は姫に道を教える為に飲んでいるのでおじゃるよ。
  ほほほほほほ……」

「誰でもいいから鎮台から鉄砲持ってきて。
  射的の的にするから」

「まぁ、娘よ。
  そのぐらいで勘弁したらどうだ。
  この公卿に酒の事を知られた時点でお前の負けなのだ」

 何だか父上が、妙にうろたえて私を宥めにかかっているのはどういうことだろう?
  なお、今回の宴の主賓のはずなんだけど、遠ざかってみんな私を囲むように見てやがるし。
  おまけに、さり気なく両手は四郎と麟姉さんが引きつった笑みで抑えてやがるし。

「姫よ覚えておくがよい。
  世というのはかくも理不尽なものじゃ。
  形も無い官位というものをありがたがって銭を捨てる者もいれば、酒を飲まれたぐらいで人を斬ろうとする姫もいる。
  それぐらいで怒っては、この戦国の世は渡ってはゆけぬぞ」

 うぁ。
  官位持ってきた本人が、その宴席で官位そのものを否定しやがった。
  やっぱ、この人器が違うわ。

「なんで公家やってんのよ?
  一条みたいに大名になれば、一国切り取れるのに」

「そんな野蛮な事は侍がすれば良い。
  一応、麿は雅な者ゆえ」

 すげぇ。
  めちゃ、いい笑顔で笑いやがったよ。この人。
  こういう所がこの人の人脈構築の秘訣なんだろうなぁ。

「はいはい。
  私の負け負け。
  今度酒風呂に沈めてやるから覚悟しなさいよね。
  だから手を放してよ。四郎に麟姉さん」

 ため息と同時に顔を緩めたのが伝わったのか、一斉に漏れる「ほっ」という安堵の声。
  うちの家臣だけでなく、山科卿についてきた従者も安堵の顔をしているが、まさか他の大名家でもこんな事してねーだろうな?

「ん?
  麿が京から離れたとて麿である事に変わりはないであろう?」

 やってやがったか……
  ああ、ちょいと年がたったけどわざわざワインを買って、ギヤマングラスも用意してベルンカステルごっこをやろうと思っていたのに……

 あと、遊郭用にギヤマンの鐘も3つほど買っていたり。
  ちゃんと、「ぜうす」「まりあ」「さたん」と名付けましたよ。
  何だか凄くやばいフラグが立った様な気がするけど、気にしない。
  多分届かないはず。うん。
  けど、届いたら別府で姫巫女衆相手に仮面忍者が戦うのかな?
  その時のラスボスは南蛮船にしよう。うん。

「ちょっと頭冷やしてくるわ」

 一度席を外す。
  政千代一人をつれて庭で涼もうかと思ったら、

「姫様。こちらにおられましたか」

 声をかけてきたのは、一万田鑑種。
  そういや、私のめでたい席という事で伊予からやってきたのか。
  兄の一万田親実が加判衆として府内で仕事をしているから、実質的な四国の主として占領地の行政を一手に行っている。

「ん?
  どうしたの?」

「姫のお祝いにこれを献上したく……」

 差し出した冊子を政千代が受け取って、私に渡す。
  で、ぱらぱら……と。
  私の目の色が変わる。
  ぱらり。ぱらり。
  ページをめくる音がゆっくりになり、めくるたびに顔が険しくなってゆくので、

「ひ、姫様?」

 と政千代が心配するほどに。

「これ、考えたのは貴方?」

「いえ、姫の案を広げるとしたらと考え、手を加えたに過ぎませぬ。
  姫の功績でございます」

 そこに書かれていたのは、大友領全域に設置された鎮台計画案だった。
  おそらく、一領具足については隣国長宗我部がある事もあり、四国大友領への導入は問題なかったのだろう。
  定数五百の南予鎮台の設置場所は宇和島。
  一条救援の対長宗我部戦にも、宇都宮救援の対河野戦にも悪くない場所を選んでいる。
  で、この鎮台の兵を旧西園寺家の連中にするというのがまた心憎い。
  更に、畑に乏しい四国ならではなのだろう。
  支払いは銭とし、その支払い予算を大友本家に押し付けるとは。
  で、鎮台の総大将を兄一万田親実にして名前を借りて、実際は自分が操るか。
  更に唸らせたのが、一条、宇都宮両家の派遣軍もこの鎮台指揮下に入れてしまう当たり、私が府内でやりたくてもできなかった事をやっている。
  さすが征服地。

 四国以外にも記述が続く。
  大友領全域に一領具足導入を前提とした、大野鎮台と隈府鎮台の設置。
  志賀氏は田原・託摩と並ぶ大友家三大支族で豊後南部に強大な勢力を誇っていた。
  なお、託摩氏は肥後に地盤を持っていたが、南北朝の騒乱で南朝につき、さらに菊池義武の乱と小原鑑元の乱で肥後がめちゃくちゃになり、その勢力は大幅に衰えている。
  で、志賀氏は北志賀・南志賀の二家に分かれて、現在本家筋の北志賀(なお、当人達は志賀で通すからややこしい)親守が加判衆に入っていたりする。
  なお、南志賀の領主は一時香春岳城城代を勤めた志賀鑑綱こと、志賀鑑隆。
  戦国時代の人はころころ名前を変えるから困る。
  で、この二人に同組織において格が分かれて争われたら、豊後南部の防衛が崩壊するので大野鎮台の設置を避けたのだった。 
  それを志賀鑑隆を隈府鎮台総大将にして定数五百の鎮台を作り、肥後に睨みを効かせる事で解消させるか。
  鎮台同士の合同作戦において現地司令部を上位と置く取り決めで、大野鎮台が肥後に援軍に来ても志賀鑑隆の顔が立つ訳ね。
  上手く考えてやがる。
  で、阿蘇や相良もこっちに入れて、隈府鎮台も銭で兵を雇って……ぉぃ。

「だから、隈府な訳ね。
  菊池浪人を雇うのか」

「姫が、どうも豊前・筑前に対して肥後の手が遅いなと思っていましたので、差し出がましいと思いましたが。
  秋月に対しての計らいを見るならば、菊池にも夢は見せるべきです。
  かの家の影響力は、肥後においてはやはり大きいですから」

 いや、単に龍造寺や島津に取られるから放棄していたなんて言える訳も無く。
  正直、肥後は阿蘇氏が大友についているなら、それ以上深入りするつもりなかったしね。
 
「夢を見させるなら、相良に逃れた菊池の遺児を引き取りましょうか?」

「それはおよしになられた方が。
  夢は夢である事が大事ですから」

 本当にこいつ毛利に取られなくて良かったと思い知る。
  ここまで有能だったか。

 で、加判衆である志賀親守は定数千の大野鎮台総大将にする。
  付けるのは斉藤鎮実に柴田礼能と、朽網鑑康に入田義実って、おい!
  朽網と入田って、大友二階崩れで粛清された入田親誠の縁者と息子じゃねーか。
 
「くすぶらせたままではいずれ火がつきます。
  ならば、目の届く所において功に賞すれば火は消えるでしょう」

 まぁ、言わんとする事は分からないではないが、父親殺された恨みを消すのは並大抵の事じゃないと思うけど。
  考えていた事が顔に出ていたのだろう。
  一万田鑑種が苦笑して本音をぶっちゃける。

「裏切るにも、主君が公正に治め、己が賞されているのに裏切ると不義理と罵られて周りがついてこないのですよ。
  今の殿はまぁ、若干色に溺れていますが公正の範疇ですから、あとは働ける場所を与えてそれを賞すれば、今度は家臣が納得しませんよ」

 うわ。
  さすが元内通者。
  言う事に説得力ありまくり。

 日向の豪族土持親成も大野鎮台に入るから、この大野鎮台は豊後南部国境の備えであると同時に、対毛利戦における予備兵力となる。
  うん。文句の付け所が無いわ。  
  とはいえ、彼が率いるであろう宇和島鎮台についてはいくつか首をひねる所があったので質問してみる。

「田北鑑重にできて、貴方にできない道理は無いか。
  けど、補佐がいないけど誰かあてがあるの?」

「渡辺教忠殿と土居清良殿にお願いしようかと」

 渡辺教忠は一条房家の甥に当たり、西園寺家に対する一条家の監視として西園寺十五将の渡辺家の養子に入っている。
  まぁ、彼は断らないだろう。
  問題は、土居清良の方だ。
  農業に一家言を持ち、配下に鉄砲隊を配備させたその先見の明を持つ彼を配下に出来れば、言う事この上ないのだが。
  彼、祖父や父を大友の侵攻で失っている。
  で、一時没落してまた復活したと思ったら、西園寺家そのものが大友によって滅亡してまた没落の憂き目に。
  大友を恨んでいるに違いないと思って、一万田鑑種がこれを差し出してきた理由を知る。

「口説けって事ね。
  土居清良を」

「はっ。
  残しては危険な男。
  害する前に取り込みたいのですが、それがしが誘うより、四国で武名著しい姫の文を頂きたく」

 これだからできる男は。
  断れないじゃないか。
  本気で彼を毛利に取られなくて良かったとほっとする。

「いいわ。
  必要なら私自ら出向いて口説くわ」

「ありがたき幸せ」

 私の即決に一万田鑑種が頭を下げる。
  で、一週間後に本当に出向いて口説き落としてきた、有限実行の私です。
  まぁ、その話はこの宴席外の事なのでおいといて。

 

「良かった。
  ちょっと話がしたかったのだけどいい?」

 宴席で見かけた顔に声をかける。
  島井宗室。
  博多の商人にて、大友の御用商人の一人。
  この間杉乃井で吉岡長増経由で南蛮船建造の資金援助、代わりに南蛮船を安く購入するという提案があったのだった。
  
「これは姫様。
  何か御用で?」

「吉岡老に妙な話吹き込んだでしょ。
  あれの返答をしようと思って」

 あの隠居じじい、すっかり別府に居ついて若い者に色々教えていたりする。
  教育は大事よねと思っていたけど、最近はこのじじいの教え子が増えていたりする。

 まぁ、私とうり二つの遊女に恋文の一つ出せないのも恥ずかしいからね。きっと。

 何しろ私が書物をかき集めた図書館が別府にはあるし、学ぼうとする意思があるなら学べる場所なのだ。実は。
  若い衆が下心みえみえとはいえ、読み書きしようという気になったのはいい事だ。
  なお、もう一人の隠居じじいの田北老(田北鑑生)も来て、武芸を教えているとか。
  だから、別府であの二人が教えているのを、私はこっそりと「老後の楽しみ学校」と呼んでいたりする。
  で、最近両方に出来るだけ顔をだして、武芸に学問両方とも最近めきめき力をつけている若武者が一人。

 うん。四郎なんだな。これが。
  妊婦自重しろとの声で、自重した結果がこれだよ!
  血があのチートじじいのを引いているから、伸びるのは分かっていた訳で。
  まったく何やってやがる。大友しっと団。
  四郎を越えるべく良い男にならないと恋も取られちゃうよ。四郎に。

「いつまでも姫に頼られる男になるべく、日々精進しているだけです」

 なんて閨で言うのですよ。
  もう、かっこいいたらありゃしない。
  思わず抱きついて奉仕オンパレードをやろうとして、瑠璃姫に見つかって二人仲良く説教喰らったけど、こんな時ぐらいは空気読んでよ!瑠璃姫。

 いかん。話が逸れた。

「別府の支店は構わないわ。
  あと、南蛮船購入についてだけど、こっちは構わないけど、いいの?」

 実にわざとらしい疑問系に島井宗室が食いつく。

「何がでしょうか?」

「建造に時間がかかるから回せても一隻ずつだし、それが難破したら大損でしょ」

「ですから、難破しにくい姫の船をお願いしたわけで」

 この時期の航海の難破率は信じられないほど高い。
  少し時代は古くなるが、元寇時では、対馬海峡を渡る為に一月も待ったとかいう記述が残っていたりする。
  あの時期の対馬海峡ですらこれだ。
  技術が進歩したとはいえ、この戦国の世でそれはさして変わっていなかったりする。
  なお、大航海時代の南蛮船ですらその帰還率(まぁ、地球を半周回るから当然か)は限りなく低かったりする。

「なら、船が沈んだらおしまいじゃない。
  で、一つ相談なのだけど、南蛮船を買うんじゃなくって、うちから借りない?」

 私の提案に島井宗室の目がぱちくり。
  これのメリットは、

 大友側
  水軍維持費用が出る。
  航海による水兵錬度が上がる。
  戦時は徴用し、平時は商船として使うから売却による戦力減がない。

 島井側
  買うより安い。
  人材は大友持ち。
  難破や老朽化しても次を貸してくれる。
  堺や若狭など大友の名前で商売ができる。

「もちろん毛利との戦なんかで貸せない弊害もあるけど、自前で船を持つより安全に思えない?」

 実は、前世知識のリース系企業のネタそのままだったりする。
  近い内に船舶保険にも手を出しますか。
  目指せ、日本のロイズです。

 と、話せばそこは稀代の大商人。
  破顔一笑の後に手を差し出す。
  私もその手を握ってにっこりと。

「今後ともよしなに」

「まったくです。
  これ、お祝いの品です。どうぞ」

 と、後ろの番頭が持ってきたのはさっき山科卿に飲まれたワインで、しかも対のギヤマングラスつき。
  そして、さっきの宴会での山科卿の言葉を思い出す。

「山科卿にちくったの、あんたね」

 ちょっと手を強く握って意趣返しをするが、さすが大商人の手。
  ちっとも痛そうな顔をしないで、彼は言い切ったのだった。

「傘は、雨が降らないと売れませぬゆえ」

 さすがにやられっぱなしでいられるのは嫌なので、一言。

「あ、そうだ。
  高麗象嵌青磁を買おうとしていたの父上の手の者だから、言い訳考えておきなさいよ」

 ぴたりと固まった島井宗室を捨ておいて、私はワインを持って宴会場に戻ったのだった。

 

「おお、姫。
  麿の為にまた酒を持ってきてくれたか。
  よきかなよきかな」

 まったく自重しねーな。
  この酒飲み公卿。
  ギヤマングラスを山科卿の前においてワインを自分のグラスにだけ注いでごくり。
  ああ、美味しいわ。これ。

「姫。
  先ほどの意趣返しならば、少し雅ではありませぬぞ」

「ご安心を。
  山科卿がお願いを聞いてくれたら、残りは全部差し上げますから」

「本当か!
  銭以外なら何でも言うが良い!!」

 そのワインの為に足舐めそうなぐらいの顔は止めてください。
  これだから酒飲みってのは……

「山科卿の日記を写本させてください」

「ほぅ。日記とな」

 そうなのだ。
  彼、後に当代一級資料となる日記『言継卿記』の著者なのだ。
  そして、何よりも大事なのはこの日記に書かれた患者の記録が、日本最古のカルテと言われている。
  これが医師に渡り、正しく医療に使われれば、どれほどの命が助かるか。
  この手を逃してなるものか。

「写本の費用に運搬、全ての手間は私が持ちます。
  それにお礼として、朝廷と山科卿にそれぞれ五千貫、合計一万貫払いましょう。
  いかがです?」

 一万貫という言葉にまたぴたりと場が静まる。
  しかし、良く場が止まる宴会よね。これ。

「姫。
  そういう事で麿は銭を取りはせぬよ。
  遠慮なく、写本すると良い。
  そうじゃな、今度正親町三条家のご隠居が来るらしいから、その支度金にでもすればよい」

 この時、真の貴族として私は山科言継を見た。
  こんな人間が残っていたのだな。

「じゃが、大友家が朝廷に献金するのは大歓迎じゃ。
  何しろ、銭はいくらあっても困らぬからのぉ」

 尊敬の雰囲気ぶちこわし。
  これも彼の魅力か。
  私は山科卿にワインを渡して立ち上がる。
  私の為に開いた宴会だ。場が冷めたなら、私が盛り上げないと。

「一番!大友禰宜!
  芸を披露します!!!」

 と、叫んで豊後高田名産白葱を手に取ってくるくる回す。

「やっつぁっつぁぱれびっぱれらんらんびっぱりりんらん……」


  しーん。


  どうやら、このハイセンスは四・五百年立たないと分からなかったか……
  いや、時代はタコだったか。

 見事なまでに固まった場をどう取り付くおうかと、私は冷や汗をかきながらネギを回し続けたのだった。

 

補足
  このお話に出てきた、島井宗室の提案は、「大友の姫巫女XXX とある少女の物語・幕間~島井宗室~」の裏にあたり、大隅氏の了解を頂いております。



 

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