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大友の姫巫女

第十六話 大友すいーつ!堺 ロリきょ 姫巫女長

 お元気ですか?
  宇佐で巫女をやっている珠です。
  堺ですよ!堺!
  東洋のヴェネツィアですよ!ヴェネツィア!

 何事も無く無事に堺に入った私達は宿を取る事に。
  で、その宿を決める前に生き馬の目を抜く為に私に突貫する堺商人の皆々様。
  ちょ!
  一応お忍びなのに何これ?

「姫様。
  姫様は時々ご自身の価値を分かっておられないと思うのですが」

 麟の呆れ声にしばし目をぱちくりぱちくり。

Q1 私は誰?
A  大友家 義鎮の娘 珠姫

Q2 私の価値は?
A  西国で一二を争う大大名大友家一門の姫
    遊郭を経営し、コークス及び鋼で巨万の富を持つお金持ち
    未婚<これかなり重要
    ロリ巨乳<自分的にとても重要<ちくしょう貧乳族め。呪いをかけるな(笑)

Q3 ここは何処?
A  生き馬の目を抜く商人達の町 堺


  うん。
  お忍び自体が無理だった。
  パパラッチに取り囲まれた王室関係者の気分を存分に味わっていると、小物の商人達は散らされて本命の大物商人が姿を現す。
  堺町衆も勤める豪商今井宗久が。


  彼の豪邸にある茶室で茶を頂く事に。
  なお、自然と我々の宿泊先もここに。これが豪商のカリスマってやつだな。
  父上。茶の指導ありがとう。おかげで恥をかかずにすみました。
  とりとめのない話をしながら茶を嗜んでいると、そろそろ話が本題に入る。

「で、この度のご来訪はどのようなご用事で?」

「たいした用ではないわ。
  用といえば、幕府と朝廷に挨拶を。
  それぐらいしか考えていないから」

 かこーん

 ししおどしの音が無駄に響く中、今井宗久殿は茶をもう一杯差し出して口を開いた。

「堺の町衆の噂としてお聞きください。
  筑前黒石と筑前鋼は博多商人から若狭の商人にあげられており、堺まで出回っておりませぬ」

 そりゃそーだろ。
  堺に卸すって事は、毛利勢力圏の瀬戸内を通らないといけないから私が嫌ったのだ。

「なんとか、堺にも卸していただけないでしょうか?」

 卸したいのは山々なんだけどね。
  堺商人とはコネ作っておきたいし。
 
「毛利との和議が成立しないと無理ね。
  で、和議の条件で毛利側が提示しているものはご存知?」

 今井宗久殿は茶を立てる音を一時止めてそうかと納得する。

「嫁に行くにせよ、婿が来るにせよ、姫様が筑前黒石と筑前鋼を握っている事が大事なのですな」

 気づいたらしい。
  私の収益の大黒柱であるコークスと鋼を婿に取られたら、この話そのものが意味をなさなくなってしまう。

「もう一つ。
  ここで和議が結ばれても、毛利は筑前・豊前を諦めない。
  筑前が荒れればこの話そのものが意味をなさないのよ」

 ここが問題なのだ。
  産業の健全な発展は国内治安の確立なくして絶対に進まない。
  この先、おそらく三四年後に来寇する毛利軍四万に迎撃する大友軍四万で筑後・豊前はめちゃくちゃになる。
  府内大開発はそれを見越して進められている。
  万一博多が戦火で機能しなくても、府内で代替できるように博多商人を呼んでいたりする。
  この時代の人間では厳密的に言えない私は、最初から領土による収入というものについては目を向けていない。
  何しろ姫だから城主になれない可能性も高かったからだ。
  だからこそ、物流サービスと情報つまり商人達を客とした商売に特化し、遊郭経営なんて結論が出たりするわけだ。
  その意味では香春や筑豊に縛られるコークスと鋼は大収益源とはいえ切り捨ててもいいと割り切っていた。
  実際、数年後には戦場になるしね。
  だが、あまりに収益が上がりすぎたので、今度は周りがそれに群がってそれを許さないらしい。

「案がない訳じゃないわ。
  遠回りだけど、府内から土佐回りで堺に卸す事ができないわけじゃない。
  けど、若狭回りより金がかかるわよ」

 香春から府内まで石炭と鋼を持ってくるのが問題なんだよなぁ。
  鉄道があればこのあたり一気に解決するんだけど。 

「構いませぬ。
  物がない現状ならそれでも飛ぶように売れるでしょう」

 今井宗久殿は小さな箱を持ち出して私に差し出す。

「これは、これからの良き商いが出来るようにとの私からの心ばかりの品物でございます」

 こ、心ばかり……
  箱に「松島」って書いてますけど。宗久さん。
  国買える茶器を心ばかりって、あんたどれだけお金持ちですか!
  これ、父上に見られたらただじゃすまないだろうなぁ。
  父上用のおみあげにしよう。私の保身の為にも。

「あとこれは、さるお方からの品でございます」

 彼が家人に持ってこさせたのは、女物の鎧一式。
  それを見て私が茶を噴き出したのはもう仕方ない。
  こんな女物の鎧、しかも胴丸のくせに華美に装飾なんてしてやがるし、ちゃんと胸が巨乳用に胸部が膨れているし。
  女物の鎧を以前にも作った職人じゃないとできねーだろ。
  で、現存する女物の鎧なんて伊予大山祇神社の鶴姫ぐらいしか知らないし!
  口元の茶を拭きながらむせていると、今井宗久殿は笑みを浮かべて続きを口にしたのでした。

「あと、言付けを。
  『是非帰りは瀬戸内を通って欲しい。歓待したい』との事で」

 はっはっは。

 ばれてーら。


  毛利元就に。 orz




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