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大友の姫巫女

第十一話おめでとう ょぅι゛ょはレベルアップした

 お元気ですか?
  宇佐で巫女をやっている珠です。
  領土も増えて、統治に手間取っています。
  毛利が尼子を滅ぼす前になんとしても豊前・筑前を掌握しないと……

「おめでとう。むすめよ。
  神力があっぷしたわ」

 あーそーでですか。母上。
  どうせ社から出られないのですから、そのへんで寝転がってくださいませ。

「ふふふ。甘い。
  貴方のお陰で信仰心が増して、出られるようになったのよ!
  ……何?その露骨に厄介事が増えたという顔は」

 領地が増えて、各所からの祈祷依頼が一杯で死ぬほど忙しいのです!
  母上の世話まで手が回りません!

「なーんだ。
  簡単簡単。
  私が祈祷に行くから。神様だし」

 本当ですか!母上!
  私からの信仰心も捧げますから是非手伝ってください!

「出歩いた先で男を食べるのも楽しいのよね」

 駄目だ。こいつ。はやくなんとかしないと…… 
 
「そうそう。
  私の神力あっぷで娘もあらたな能力に目覚めているはずだから」

 何?そのジャンプ主人公的な能力開眼。
  この場では嬉しいけど。
  戦闘力UPとかで珠姫無双ですね。わかります。

「意思で妊娠するしないを選択できるようになりました!
  これで何時でも誰とでもやっても妊娠しないし、意中の人としている時に確実に孕むという凄い神力です!」

 誰か火縄銃持ってきて。
  この色ボケ神撃ち殺すから。

「待った!待った!待った!
  神様的には正しい事なんだから!これは」

 ほほう。一応理由は聞こう。

「宇佐八幡宮を祭っている神様は、私に八幡神にあと誰よ?」

 そりゃ、神功皇后……あー凄く納得。
  あのポテ腹戦女神様のスキルって事ね。これ。
  人の前世知識を共有しているだけにこの母娘は妙に一般人から外れているとは自覚はあるのだが、話しやすいのも事実で。

「正解。
  既に現世に関わる気無しの神功皇后からスキル貰ってくるのに苦労したのだから、ちょっとは褒めてよね。
  後、他人に対しては安産の効果があるから」

 そっちを先に言いなさいよ!

「いや、鏡華ちゃんみたいな人生おくれたらなぁと言っていたじゃない。貴方」

 …………いや、たしかにあんなエロゲ人生おくれたらと思いましたよ。
  事実、ネオロマンス風とは望みましたが「DISCODE 異常性愛」みたいな人生はちょっとしかおくりたくありません!

 ……父、あれ。
  ……母、これ。
  ……前世、こんなの。
  ……現状、戦に政にストレス溜まりまくり。

 うん。無理。
 
「一応。お礼は言っておくわ。
  ……ありがとう」

 そっぽ向いて小声で。自分で言うのもなんですが何処のツンデレですか。私は。
  うっわー!
  こなたみたいな笑みで母上私を見てるし。
  なんだか腹立つわ。

 そういやふと思ったけど、戦系能力UPとかしないのはどうして?

「穢れを集めるからね。戦は。
  貴方も戦に出て分かったでしょう」

 たしかに、彦山川での原田貞種の呪詛はマジで怖かった。
  戦系能力をUPして、あれを定期的に喰らうというのは遠慮したいかも。

「あと、神功皇后のスキル極めるとトランスしっぱなしで、昼は血を、夜は白いのを浴びないと生きていけないから」

 ……何処のエロゲですか。そのマニアック設定。
  そりゃ、孕んだまま戦場にでますわ。
  ただ、巫女の本質を突いているのも事実。
  神とのチャネリングなんて、正気でできないのだからある種のトランスになるのは巫女として当然な訳で。
  で、確実に安心してトランスできる手段として性行為が注目され、巫女が性行為を行う祭事が古代から続いていたのはその流れがある。
  あ、いま凄くいやな死亡フラグが見えた。
  秀吉が九州を治めて、私が側室で入ってやっちゃって、子供ができちゃった。
  まてまてまて。あれは種無しだったからできないと思うよね。母様。
  縋る視線で母様を見ると、ちっちっちとあんた何処の快傑ズバットだよ。

「神様舐めちゃいけない。
  ちゃんと出来るから」

 うわー!うわー!うわー!

 なんかめがっさでかい死亡フラグ立っていますけど。
  何?下手したら私が大阪城の主として徳川家康と戦うの?
  勝てるか!!!!

「孕まなきゃいいじゃない」

 甘い。母上。
  あの人の怖さは戦場も政治も怖いけど、中でも一番やばいのは人たらしだから。
  九州討伐は天下を取る前で、家康というライバルがまだ頑張っているから、全盛期の秀吉の人たらしスキルなんて浴びたら私達二人仲良く「くぱぁ」と股広げるハメになりかねん。
  ただの尾張の百姓が天下人になるのだからそれだけの才能は持っている訳で。
 
「……」
「……」

 長い沈黙の後、母上は厳かに私に尋ねた。

「親子丼で喜んでもらえるかな?」

 何か色々と我慢できなくなったので、とりあえず私はこの色ボケ神を蹴倒したのだった。



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